〜Aviation sometimes Railway 〜 航空・時々鉄道

航空や鉄道を中心とした乗り物系の話題や、「迷航空会社列伝」「東海道交通戦争」などの動画の補足説明などを中心に書いていきます。

エアベルリン破産でどうなるエティハド航空

8月15日、ドイツ第2位の航空会社、エアベルリンが破産申請したようです。

 

エア・ベルリン、破産手続き開始 ルフト支援で運航継続

 

破産の直接の引き金は、エアベルリンに出資していたエティハド航空の財政支援打ち切りですが、前々から危ないと言われていたアリタリアと違い、エアベルリンの破産は突然だったので驚きでした。LCCとフルサービスキャリアの中間という位置付けのエアベルリンはワンワールド加盟でルフトハンザに対抗する航空会社として伸びていくと思っていましたが、実際は赤字続きだったようで、2016年12月の決算は7.8億ユーロの赤字に陥ったようです。

アベルリンは当面はドイツ政府のつなぎ融資を受けつつ、当面運航を継続して再建を目指すようですが、ルフトハンザに一部事業の売却を検討しているとのこと。独禁法の関係もあるので会社丸ごとの売却は難しいと思いますが、ヨーロッパでは2位の会社は大抵破産するか1位の会社に呑まれるケースが多いので、エアベルリンはなんとか踏みとどまって欲しいところです。

 

それ以上に心配なのがエティハド航空の財務状態。ここ数年、エティハド航空アリタリアやエアベルリン、ヴァージンオーストラリアなどの航空会社に出資し、独自のアライアンスを形成しようとしていましたが、今年5月にアリタリアが破綻、次いで今回のエアベルリンの破綻と、出資先の会社が次々と破綻しています。バックがアブダビ首長国なので簡単には倒れないとは思いますが、独自の航空連合形成に他の航空会社に次々と出資、というのはこの会社を彷彿とさせるんですよね・・・

 


迷航空会社列伝「空飛ぶ銀行のご乱心」スイス航空 中編・背信のグラウンディング

 

スイス航空も拡大路線が裏目に出て消滅したケースですが、出資先の会社が次々と経営悪化→経営陣がその責任を取らされて更迭、というのはエティハド航空も同じなんですよね。ここ数年、航空業界を席巻した「中東御三家」も、カタール航空は周辺国の断交で苦境に立たされていますし、エティハドも出資先の破綻で先行きに暗雲が立ち込めてきました。今のところ御三家で順調なのは29年連続黒字のエミレーツ航空くらい(それでも前年より利益は減ってますが)。エティハドの今後の経営状態によっては、航空業界のパワーバランスが変わるのかもしれません。